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2023年1月1日(日)

新年あけましておめでとうございます。

昨年、思い切って会社を退職してから1年が経ちました。
ずーっとこだわっていた正社員のポジション。
定年までこの会社で働き続けるものだと信じて止まなかったのに
だんだんと気持ちが離れ
そして決定的なことがおきて(というか、自分でおこして)
覚悟を決めて退職した1年前。

今年はこういう年にしたい

そんな明確なビジョンがまだなくて
というか、大きな大きな目標があるなかで
今年は目標のどの辺りまで近づけるのだろうか、と
あまりに目標が大きすぎて
少ししょぼくれながらの新年の幕開けとなっています。

進むぞ、と思っても
自分の無力さというか能力のなさを思い知って
ああ。。。と落ち込んで
また立ち直って進んで、また実力のなさを思い知って
うう。。。と落ち込んで、の繰り返し。

それでも ごにょごにょ 言っているだけでは変わらないから
今日も何か1つはやってみよう、という思いで
これからも続けていくぞ。
という新年の誓いを胸に
ジャニーズのカウントダウンをテレビで眺めておりました。
2023年1月2日(月)

もう10年来の付き合いのUさん。
Uさんの妹さんは、子供が1歳と3歳の時にご主人を亡くしました。
ご主人はまだ20代。突然の死でした。

幼子2人を抱えて茫然自失の妹さんでしたが
子供を育てないと、という思いだけで
再婚もせずに必死に働き続けてきました。
子供達は無事にすくすく成長し
妹さんにもようやく心にゆとりが出てきました。

「ちょっと聞いてよ、お姉ちゃん!」

Uさんの電話に妹さんから怒りの着信が入ったのはそんな頃でした。

「旦那が夢に出てきたわ。」

それは良かったわね、と、Uさんは答えました。

「夢の中で旦那が私になんて言ったと思う?
 急に何やら申し訳なさそうに現れたと思ったらこう言ったのよ。
 『ごめん、あの世で好きな人ができた。』」

わっはっは。
思わず大爆笑してしまったUさん。

あの世の世界でも色恋沙汰があるようです。
妹さんが天国に行ったときに変な三角関係にならないといいなぁ。

2023年1月3日(火曜日)

Uさんの妹さんの夢の話を母にしたところ、

「私なんてもっとすごい夢を見たわよ。」

と、母らしい返答がありました。

それは父が亡くなって随分時間が経ち
母も父のことを懐かしく思い返すことが出来るようになった頃のことです。

父が母の夢の中に出てきて1枚の少し厚めの手紙を差し出しました。
なんだろう、と思いながら母が手紙の封を切ると
中から出てきたのは結婚式の招待状。

あの世で父が別の誰かと結婚するので出席して欲しいという話でした。

Uさんの妹さんのご主人は、一応好きな人ができてしまった時点で
妹さんに報告しにきてくれました。

私の父はとっとと好きな人と話を進め
結婚式の段取りもぜーんぶ終えた時点で母に報告に来たのです。
さらに、あろうことか母を結婚式に招待するとは
なんて失礼な男なのでしょう。

招待状を受け取った母がどうしたかというと、
信じられないことに夢の中で結婚式に出席したらしいのです。

他の出席者にジロジロ見られ、
「なんであなたがここにいるの。」
と声までかけられたそうです。

どうして私がここにいるのか
私が一番理解できないわ、と心の中で思ったときに
夢から覚めました。

私はこれまで母を変わった人だと心から思ってきましたが
母に劣らず父もまた変わった人だったのだと知りました。

そんな父と母から生まれた私は。。。うん、考えるのは止めよう。
2023年1月4日(水曜日)

Uさんの妹さんの話も面白かったのですが
Uさんの娘さんもなかなか面白い話の持ち主です。

大型犬が好きで、大きな犬ばかりを飼育しているUさん一家ですが
結婚して家を出た娘さんが
Uさんの不在時に犬の世話をしにUさんの家に来ていました。

娘さんはこのとき、お給料を貯めて買った大事なものを持っていました。
ルイ・ヴィトンの高価なキーケース。
当然、Uさんの家にも車で来ていた彼女は
キーケースを居間の机の上に置いて、家の外回りの掃除を始めました。

家周りがきれいになってスッキリした気持ちで室内に戻った彼女が見たものは
家の玄関から2階の居間に続く階段に散らばる
よく見た柄の布の切れ端でした。

こ、こ、これは。。。

一段一段階段を上りながら、茶色の切れ端を拾う彼女。
一段一段のぼるたびに怒りがこみ上げてきます。

居間に入り、ソファでくつろぐ大型犬たちを見て開口一番

「うぉりゃーーーっ、誰だ、キーケースを咬んだのはーーーっっ」

そんな時、犬って面白いもので
「ボクじゃないよ」「アタシじゃないよ」という顔をするものです。
しかし彼女も負けていません。
彼女と目を合わせないように振舞う犬達の口を、
1頭1頭こじあけていきました。

最後の犬の口をあけたとき、とうとう彼女は見つけました。
犬の上唇の裏側に貼り付いた小さな『V』の文字を。

「お前か、ジェシカーーーーーーっっっ」

しまった、という顔をして逃げるジェシカ。
鬼の形相でジェシカを追いかける彼女。

すぐにジェシカは彼女につかまり
ぐりぐり、うりうり、の刑(?)に処されたとのことでした。
2023年1月5日(木曜日)

先月、バリウムを飲む形の胃の検査を受けました。
健康診断の1つです。

検査着に着替えてから案内された待合室で椅子に腰をかけるやいなや
検査室から放射線技師さんの明るい声が聞こえてきました。
普通、待合室にそんなに技師さんの声って漏れないと思うのですが
とてもオープンな病院のようです。

漏れ聞こえてくる男性の技師さんの患者さんへの声がけ。
待合室にいながら、この技師さんに会えるのを(=自分の順番が来るのを)
今か今かと待ってしまいました。なぜなら。。。

前の患者さんの検査が終わり
私の番になって検査室に入ります。

おっきな機械を前に少し圧倒されてしまいますが、
それ以上に気になったのは私の前に立った眼鏡をかけた年配の男性でした。

「検査を担当しますKです。よろしくお願いいたします。」

こちらこそよろしくお願いいたします。ってか、
むちゃくちゃ楽しみにしていますっ♪

にっこり笑ったKさんは画像を診る部屋へと入っていき
ここからは窓越しに指示を出すKさんの声をスピーカーから聞きながら
私は機械の上で体勢を変えていくことになります。

機械に体を寄せて、紙コップからバリウムを飲んでいきます。
さあ、『ザ・K技師のバリウム検診タイム』スタートです。

「紙コップのバリウム、全部飲んじゃうよ。でもゆっくりね。
 飲んでいるところを見ているよ。はい、ごっくん、ごっくん。」

「体を右側に倒してゆぅーーーっくりと仰向けになって。
 はい、ごろーん、ごろーん。転がるよー。」

「よく撮れているよー。
 次は手を挙げておおーーーきくお腹を膨らませてみよう。
 はい、ぷぅぅぅーーーーーーーーーーーーーー。」

「ゆぅーーーっくり体をこちらに向けてぇーーーーー
 はい、そこでストーーーーーップ。そう、そこ、いいねいいね、完璧だ。」

K技師の指示のもと、私はあっちにごろごろ、こっちにごろごろ
まるで遊園地のアトラクションのように
右に左に動く機械に振り落とされぬよう
手すりをしっかりと掴みながらK技師の指示に従います。

検査は終わりました。

楽しかった♪もっとやりたかった♪

素直な第一声が私から出たとき、K技師はにっこり笑って
「とってもよく撮れましたよ。」
そう言って私の肩をぽんぽんと優しくたたきました。

こんなバリウム検査なら何度でも受けたくなる。そんな検査でした。
良いフィードバックはどんどん返す主義の私は
病院に設置されていたアンケート用紙に
K技師の素晴らしさを称える言葉を記入しました。
2023年1月6日(金曜日)

子供が中学受験をすることになってから
私は算数と理科を、母が国語と社会を教えることになりました。

ルールを1つ設けました。

『互いの指導には口を出さない』

横で聞いていると、
つい「そこはそうじゃなくてこう教えたら?」と言いたくなるものです。
しかし言われたほうとしては気分がよくありません。
ただでさえストレスフルな受験を生き抜くためには
くだらないイライラは避けたいため、母と私で最低限のルールとして
お互いの指導中は絶対に口を挟まないことにしたのです。

国語の読解問題を解いていた母と子供。
子供がノロノロと問題を解く姿に、
母がいらいらしているのが見て取れました。

「はい、解けた?答えはなんて書いた?」

切り口上で子供をせかす母。

「解けたよー。」

いたってマイペースな子供が自分の回答を言いました。

「ここはね、『トシオがかぶっていたから』だよ。」

回答が少し足りないのでしょう。静かに深呼吸をして怒りを抑えた母は、

「何をかぶっていたからなの?」と聞きました。

「帽子だよ」

子供は元気に答えました。

「どうしてそれを書かないの。
『トシオが帽子をかぶっていたから』って書けばいいのに。」

怒りをこらえながらも何とか静かに言い聞かせようとしているのが
母の声色から伝わってきました。
しかしそんな母の気持ちなど知る由もない子供は無情にも言い放ちました。

「かぶるのは帽子しかないじゃん。帽子に決まっているじゃん。
 書かなくてもわかるでしょ。」

こんな子供の言葉を聞いて、ついに母がキレました。

「かぶるものなんて他にもいっぱいあるでしょっ、ストッキングとか
 パンツとかっっ、色々あるでしょっっっ。」

お母さん。。。今まで何をかぶってきたの。。。
しかしルールは守らねばなりません。
母にツッコミを入れたい気持ちをぐっと抑え、私は自室へと戻りました。
2023年1月7日(土曜日)

この間、バリウム検査に続いて胃の内視鏡検査も受けてきました。
どうも胃の調子が悪かったから。

前日の夜から食事を抜いて望んだ胃カメラ検査。
私は食事を抜くのは特に苦を感じることはないので
空腹感もあまり感じることがないまま
当日のお昼に検査を受けました。

「では喉の麻酔のお薬を飲んでいただきますね。」

口に入ってきた薬に味があったことに驚きました。

なんか甘い味がついているんですね、この薬。

思わず投薬してくれた看護師さんに話しかけると
看護師さんはクスッと笑って言いました。

「さきほどの患者さんは『杏仁豆腐の味だ』とおっしゃっていましたよ。」

ああ、確かに。言われればこれは杏仁豆腐だわ。

「今日最初のお食事ですね。」

あら、いいこと言うわね、看護師さん。

ご馳走様でした。

そう応えた私にまたまた笑った看護師さんの的確なサポートのもと
医師が黙々とカメラを私の喉から胃へと通していきました。

胃カメラ検査の結果は、

出血性胃炎

血が出ていたのか。。。そりゃ胃の調子が悪いわけです。
薬を処方してもらって帰宅して、
杏仁豆腐に次ぐその日2度目の食事を堪能しました。
2023年1月8日(日曜日)

母が行きつけの美容院から帰宅して
すぐにわたわたと動きました。

「W病院から電話がかかってくるの。待たなくちゃ。
 さあどっちのワクチンにしようかな。電話が来るまでに決めないと。」

なんのこっちゃ。

聞けば美容院で他のお客様も含めて4名で帯状疱疹の話になり
帯状疱疹を予防するワクチンが存在することを
髪の毛を切りながら教えてもらったのだそうです。

そんな大変な病気を防ぐワクチンがあるならすぐに受けねば。
そう思った母は、美容院の扉を出てすぐに携帯を取り出して
電話帳に登録しているW病院に電話をし、
電話で話をしながら美容院から家に帰ってきたのです。

電話口で受けた病院からの説明によると
帯状疱疹のワクチンは2種類あり
1つは1万円、もう1つは3万円なんだとか。

「どっちにしよう。1万円より3万円のほうが効果があるよね、きっと。
 でも3万円かぁ。。。3万円は痛いなぁ。」

いったいどうしてそんな値段の差が生まれてしまうのかわかりません。
ワクチンビジネスを目の当たりにした気持ちです。

しかし母はそんなビジネス話など気にも留めず
ただただお金を取るか効果を取るか、の選択に揺れていました。

トゥルルルル。

母の携帯が鳴りました。

「うわぁ、きた。電話が来た。どっちにしよう。」

母が自分の携帯に出るのとほぼ同時期に自宅の電話がなりました。
母が携帯に出るので、自宅の電話には私が出ました。

はい、もしもし。

自宅にかかってきた電話は、
母がさっきまで行っていた美容院からのものでした。
母に用事だろう、そう思いましたが

「1万円だとそこそこ予防ができて、
3万円だときっちり予防ができるということですか。」

W病院に必死に説明を求める母に、
美容院からの電話に応えるだけの余力はないと判断し
私が美容院からの伝言を承ることにしました。
2023年1月9日(月曜日)

母の行きつけの美容院は私の行きつけでもあります。

「○○ちゃん?お母さんに伝えてほしいの。」

美容師さんが電話口で言いました。

「お母さんね、さっき店に杖を忘れてしまわれたの。」

え?杖?うわぁすみません。

「今から届けに行くから。」

いえいえそんな、こちらから行かせます。
ただ、今ちょっと立て込んでいてその用事が終わったら母に行かせますから。

「ワクチンでしょ?ワクチンの電話をしているんでしょう?」

なんで知ってるのかしら。

「いいの。いまちょうどお客様が引いたところだから届けに行くわ。」

我が家から美容院は1本道です。
こちらが忘れた杖をわざわざ持ってこさせるのは申し訳ないので
まだ電話口で効果がどうのこうのと言っている母を尻目に
私は家を出て美容院に向かって歩き始めました。

遠くに杖を持ってこちらに歩いてくる美容師さんが見えました。
互いに笑いながら向き合い、合流。

「はい、杖。」

美容師さんが差し出した杖を受け取りながら、
私は思わず言ってしまいました。

コレ。。。必要ないですよね、きっと。

ぶわっはっは。私の言葉を聞いて噴き出した美容師さん。
「実は。。。店でも言っていたのよ。
 忘れちゃうくらいだから必要ないんじゃないかって。」

ですよねー。

「店で他のお客様とワクチンの話になってね、
 店を出た途端に電話をしているお母さんを見て
 そのお客様が『あらやだ、もう電話しているわ。行動が早いわねぇ』って
 感心していたの。」

しかも相当な勢いでスタスタと歩いていたそうで、
その姿を見て店内のお客様も美容師さんたちも
母には杖など絶対に必要ないのではないか、という話になったのだとか。

美容師さんから受け取った杖を片手に家に戻ると、

「ああやっぱりそうなんですね。
 3万円には3万円の価値があるということなんですね。」

まだそんな話をしているのか、と思えるような母の声が
台所から聞こえてきたのでした。
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