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放ったらかしの愛情表現
3年前、とある夫婦の家にお邪魔しました。
そこにはフェレット・ハムスター・リス・ねずみ・モルモット・ももんが・亀、チンチラ、へび、
虫、金魚、ハリネズミなどなど。
あらゆる動物が所狭しと暮らしていました。

動物の飼育はそのご夫婦にとってはもはや趣味を超越したライフワークとなっており、
たっくさんの動物に囲まれて暮らすことが好きで好きでたまらない感じでした。
普段は無口なご主人も、動物の紹介を始めるとやたらと多弁になるところが可愛かったし。

その家のペットがオスメスを一緒のケージに入れておけば確実に繁殖に成功していることや
彼らの寿命が非常に長いことを知って何だか考え込んでしまいました。

ハリネズミも、触っても針を立てないいい子ちゃんばかりですし。
特にフェレットは今年で11年目を迎えたそうです。
そのフェレットは毛並みも良く、動きこそゆっくりしていて遊ぶこともないし眠る時間が長いのですが
それでも10歳という高齢にはとても見えませんでした。

正直言って、普通にお仕事をしていてさらにそれだけのペットを飼育していたら、手間はかけられません。
病院にだって全員こまめに連れて行くのは難しいでしょう。(だって総勢200匹くらいいるんだもん。)
1匹あたりの飼育スペースだってかなり狭いものです。

1匹1匹に手間や愛情をかけることは難しいのが見て取れました。

それでもみんな長生きさん。

あまり手をかけるよりも、多少は放ったらかしのほうが長生きするのかな。

ご夫婦に別れを告げた帰り道。私は考え込んでしまいました。

3年前のことです。

ふと思えば、我が家のフェネックのフジコ。
れの字と同じ血液の癌に冒されていますが、れの字のときとはそれこそ雲泥の差の飼育です。
とにかく放ったらかし。

フジコが我が家に来たのは、前の飼い主さん曰く、フジコが「8歳くらい」のとき。
翌日の健康診断で耳の真菌およびお腹にしこりが見つかりました。
1週間後に開腹手術をし、そのとき取れるだけの腫瘍を取り除いてもらいました。

1年後、再びフジコのお腹にしこりが見つかりました。癌が再燃したのです。

「持って半年の命。長くても。。。うーん、1年持つかどうか。」

獣医さんに言われ、

もうできることは何もない。後は余生をのんびり苦しまずに送ってもらおう。

そう決めた私は、しこりが再び見つかってからフジコには何もしていません。

しかしあれから1年半が経過。
フジコは毎日よく遊び、よく食べ、よく眠っています。

1年ぶりに獣医さんにお腹を触ってもらったときに言われました。

「こんなに大きくなっています。腫瘍が。」

フジコのお腹はまるで妊娠したようにぽっこりしているのです。

「腫瘍が、他の臓器に転移することなく1箇所だけで大きくなってきているのでしょう。」

そうか。だからこんなに腫瘍が大きくなってもフジコは元気でいてくれているんだね。
このままのんびり暮らしてほしい。
放ったらかすから。今までと同じように、放ったらかしで育てていくから。
だからこのまま生きていて。 私のそばで、生きていて。


大きくなった腫瘍を、再度取り除いてもらうことも考えました。
でもためらいました。
今フジコが元気でいてくれるのは、腫瘍が他の臓器に悪さをしていないから。

この大きな腫瘍を取り除いても、がん細胞はまた増殖を始めるでしょう。
それが今と同じ箇所とは限りません。
別の箇所で増殖を始め、そして今度は他の臓器にどんどん転移してしまうことになったら。

腫瘍を取り除いたことが、逆にフジコの寿命を縮める結果になってしまうかも知れません。

大きな腫瘍を抱えながら最期のときを待つフジコ。
私はお前の命を握っている。
だから怖いんだよ。決めるのが怖いんだよ。

獣医さんに聞きました。
このまま、大きな腫瘍を抱えたままのフジコには、どんな最期が待っている?

2通り考えられると言われました。

何かのはずみでお腹に物が当たり、腫瘍が破裂して出血多量で死亡。
大きくなりすぎている腫瘍が、他の臓器を押しやってしまうことにより内臓の機能不全を引き起こす。

どっちもいやだな。

でもどっちでもいい。フジコが苦しまず楽になれるならどちらでもいい。

フジコ。

やっぱり私はこのままお前を放ったらかしにしておくね。

これが私の愛情表現。

(2012年11月27日)