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フェレットを救え!野生動物の専門家、クロアシイタチを野生に返す

サウスダコタの平原に生物学者のトラビス・リビエリ氏がとある動物を捜索しているのは真夜中過ぎだった。

「彼らはすばしっこい生き物だからね。」

リビエリ氏は語る。「時々、わらの山の中に刺さった針を探すような気持ちになるよ。」

リビエラ氏は真っ暗闇の中で小型トラックの上に立ち、強力なスポットライトを左右に揺らした。
突如100ヤード先に、緑色に光る目がライトの中に現れた。
この緑色こそ、現在絶滅の危機にさらされている動物の目である。

リビエラ氏が常任理事を務める非営利団体の平原野生動物研究チームでは、動物を保護し、健康状態を確認、
ワクチンを打ち、年間発見数にカウントしてからまた野生に戻す活動を続けている。
このチームでは、飼育下からサウスダコタやコロラドを含む西部の州にある保存区域内に放した、
足の黒いフェレットとして知られるアシクロイタチの監視を続けている。

ほんの少し前までクロアシイタチは野生にはもう存在しないと考えられていた。
生物学者はこの動物は完全に絶滅したと考えていたし、生きて捕獲した人には1万ドルの懸賞金が賭けられていたほどだ。

そして1981年事態は大きく変わった。

「農場の1匹の犬がフェレットを見つけてかみ殺し、死骸を飼い主に運んだんです。
 その死骸は確かにクロアシイタチのものであり、これによりこの動物がまだ絶滅していないことがわかりました。」

こう話すのは、生物学者でありコロラドスプリング近郊のチェイエンヌマウンテン動物園の園長を務めるデラ・ガラレ氏だ。

1匹のフェレットの発見により、絶滅視されていた動物が崖っぷちから日の目を見ることになる。
18匹のフェレットを飼育下で繁殖させるプログラムが発足したのだ。

このチェイエンヌマウンテンでガラレ氏とジェフ・バウマン氏はフェレットの仲人役である。
2人はフェレットを繁殖させ、子供を育て、自然の平原に返しているのだ。

繁殖はまず、オスとメスを合わせて3日間交尾させる。
「実際に交尾しているかどうかわからないこともあります。
 動きだけというか、2匹が入った箱が揺れているのでその間は我々もジャマしないようにしているという感じです。」
ガラレ氏は笑いながら話す。

「交尾が成功していれば、ぴったり42日の受胎期間を経て子供が生まれます。」

「フェレットの赤ちゃんはそれはそれは小さくて頼りないものです。体重は何と5g。ペニー(1円玉)5枚分ですよ。」

と、ガラレ氏。

繁殖に成功したのちに手腕を見せるのがバウマン氏である。
何とも可愛らしいフェレットの赤ちゃん達を、訓練されたスナイパーへと育てていくのだ。
この地域でのフェレットの捕食動物はプレイリードッグである。そこで、生後20日になったフェレットのベビーたちに
まずは肉の味を覚えさせることから始める。まだ子供が目も開かないころからである。

「ひとたび肉の味を覚えれば、もう肉の亡者となります。彼らはれっきとした肉食動物ですから。」

ちゅぱちゅぱおっぱいを吸うだけのフェレットベビーは、ほんの数週間のうちに大口を開けて鳴き声をあげるようになる。

「これは強力手袋です。」

バウマン氏がはめて見せたのは厚手の山ほどの噛み跡がついた皮製の手袋。

「通常、裸の手をフェレットに出すことはしません。手袋があれば、噛まれても安心ですからね。」

こうしてクロアシイタチの生息数は、絶滅危機に瀕していた頃に比べると飛躍的な伸びを示した。
しかし一方で問題点も指摘されている。
現在生息しているフェレットは、もとは18匹のオスメスから生まれた子孫達である。
代々血縁を持ったフェレット同士を掛け合わせざるを得なかった結果、
フェレットたちは遺伝的な弱さを持ち、免疫力が極端に落ちているという。

「伝染病やジステンバー、風邪を始めとしたあらゆる病気に極めて弱い傾向にあります。
 1匹が病気になればバタバタっと死んでしまうこともあるんです。」

ガラリ氏は語る。

また、フェレットのその生存はプレイリードッグと密接な関係を持っている。
開発や毒物による殺害、伝染病によってプレイリードッグも数が激減したことがあった。

多くの牧場経営者にとってプレイリードッグは有害動物である。
「プレイリードッグは草を食べます。その草は牛やブタなど家畜が食べる草です。こうしたことから
 プレイリードッグは環境破壊動物と思われているのです。」

プレイリードッグの行く末は、フェレットの行く末となる。

「プレイリードッグなくしてフェレットは存在できません。
 過去に、有害動物だからとプレイリードッグが一掃されたことがありますが、
 これがクロアシイタチを絶滅の危機に追い込んだ原因でもあるのです。」

ガラリ氏は説明した。

さて、3ヶ月になったフェレットたちは移動のときを迎える。

「野生に慣らすときです。わくわくする瞬間です。」

フェレットを車に詰め込みながらバウマン氏は言う。

11匹のフェレットは、コロラド・ウェリントン市にある国立クロアシイタチ保存センターに動物園から移された。
ここは生物学者のポール・マリナーリ氏がいわゆる「フェレットのブートキャンプ」を行う場所である。

「今日はこの11匹のフェレットにとって特別な日です。子供を学校に送り出すような心境ですね。」

マリナーリ氏は話す。

ここでフェレットは生きる術を学び、磨いていく。すなわちプレイリードッグの捕まえ方、食べ方を学ぶのだ。
まずフェレット達はハムスターで練習を積む。

「みんながペットとして飼っている動物をなんでフェレットの捕食動物として与えるんだと批判を受けることもあります。
 そうは言ってもフェレットは肉食動物なんです。
 我々の使命は、このクロアシイタチを絶滅危機リストからその名前を消すことにあります。」
 
「最初はびくびくしてお母さんフェレットにしがみついていた赤ちゃんフェレットも
 すぐに好奇心が増して箱から出て探検を始めます。」

「踊りだす子もいますよ。私たちは『フェレットのハッピーダンス』と呼んでいます。
 フェレットの子供たちは絶滅ではなくそこかしこに存在したいのだと思いますよ。」

マリナーリ氏のブートキャンプを無事に終えたフェレット達はキャンプ卒業のときを迎える。野生への旅立ちだ。

「放す場所はここから車で6時間先にあります。ワイオミング方面を目指し、平原をいくつも越えてサウスダコタに入ります。」

フェレットの旅立ちの日、白いミニバンにキャリーケースを詰め込むマリナーリの姿があった。

車で進むこと330マイル。フェレットは終に最終目的地へと到着した。サウスダコタの国立公園である。
ここでフェレット達は多くの見物客の目に見られ、フェレットマニアたちから何百枚と写真を撮られることとなる。

「最初はびくびくしながらディナーを獲りに行くんですよ。」
若いオスのクロアシイタチの入ったキャリーケースを持ちながらマリナーリ氏は平原へと足を進める。

プレイリードッグの群れが住む場所にたどり着くと、マリナーリ氏はキャリーケースを地面に置いてその扉を開けた。

「毎度のことですが、動物を野性に返せる瞬間はすばらしいです。
 このフェレットが来年の春にはいい女の子と出会い、42日後にはこの子の子供ができることを望みます。」

クロアシイタチは今も絶滅の危機にある。しかし発見当初18頭から始めた繁殖プログラムのおかげで
その生息数は今や1000頭となった。

「緑色の目を見つけると興奮しますね。」

わなにかかったクロアシイタチを捕まえるために暗闇の中を歩くリビエリ氏は言う。
リビエリ氏の希望はフェレット達がこの平原で、人間の力を借りずとも自分達でその生息数をあげられるようになることだ。

「我々が壊してしまったフェレットの生態系を戻すこと。それが人間としての使命です。」


(2012年7月7日 ABCニュースより)




あたちも色々なところを歩くので
アンヨが真っ黒になります。
☆おしまい☆

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