いたちなあたち(HOME)→ 飼い主の長めのつぶやき → 英検1級二次試験体験記
2016年11月、英検1級に合格しました。

ここでは二次試験を受験してみた感想と、
次に受験する人へのアドバイスを書いて参ります。

1次の合格発表から2週間後に二次試験がありました。
2週間しか余裕がなく、
加えて職場環境の変化により勉強時間がほとんど取れませんでした。
こりゃダメかも知れない。

そう思ったときに、何だかふっと楽になりました。
一次試験に合格すると二次試験のチャンスを3回もらえます。
今回落ちてもあと2回は一次試験免除で二次試験を受けられるのです。
そうなら話は簡単です。
今回は面接とやらがどんなものかを知るために受けに行けばいいのです。
経験してから対策を練って次に受かろうっと♪
そう思うと少し気持ちが楽になりました。

とは言ってもやはり面接は嫌なものです。
前日の夜はよく眠れませんでした。

当日は少々早めに家を出て会場となる大学へ。
試験票に記載されていた集合時間の45分前に到着しました。
すると、開場受け付けは集合時間の35分前に始まると係の人に言われて
近くで待ちました。
開場が始まり、所定の待合室というか大学の教室に入りました。

「手前から座ってください。」

見ると3人掛けのテーブルが50個以上並んだ部屋で、
面接票がびっちりと3人掛けのテーブルに各3枚、隙間なく並べられていました。
通常の試験では、3人掛けのテーブルでは真ん中の席を空けて
端と端に人が座れるようになっています。
しかし3人掛けに3枚の面接票。。。一体何人の受験生が来るのでしょうか。

私の前には5人が既に座っていました。私は6番目。
まぁどうせ受験番号順に呼ばれるのでしょうから、ここでの順番なんて関係ないわ。
それより一番後ろの机の端の席に座ることができて良かったわ。
だって御手洗に行くのが楽だもの。

面接票に必要事項を記入して、監督者からの指示を待ちました。

「それでは前から10番ずつ面接会場にご案内します。」

え?受験番号順じゃないの?

後から知ったのですが、二次試験は棄権者が結構いるそうです。
そのため受験番号順ではなく到着順で面接を受けさせたほうが手っ取り早いのだとか。
3回受けるチャンスがありますからね。
通常は1次試験を終えてから2週間しか準備期間がないのですから
1回目を捨てて2回目以降に賭けるということでしょう。

もったいない。

確かに逃げたい気持ちはわかります。
何の準備もしていない状態での面接は確かに怖い。逃げたい。
その気持ちはすごくわかります。

でもせっかくのチャンスですよ?
雰囲気を知ることができる大事な機会なのに。
棄権するなんて本当にもったいない話です。

何はともあれ、このとき私は思いました。

受験者へのアドバイス・その1
試験会場へは早めに行きましょう

集合時間ギリギリに来た人はたぶん1時間以上は待合室で待機することになります。
どうせ受けなくてはいけない面接ならば、
少しでも早く受けてしまったほうが気が楽ですから。

最初の10人の中に入った私は、いよいよ始まるんだ。。。
という恐怖に近い気持ちで面接会場まで足を運びました。
ほんと、怖かったです(^^;)

「ここでお待ちください。」

1級の面接に用意された部屋は10部屋。
それぞれの部屋の前に1人ずつ、待機席に座らされます。

席に座ると廊下を挟んだ向かいの面接室の前にも男性が待機席に座りました。
何となく目が合いました。

ふぅ。

お互い呼吸を整えます。彼も私も緊張しています。

そこへぞろぞろと5人の別の受験生が監督者に連れられてやってきました。
そしてまた1人ずつ、各面接室前の座席を指定されました。
私の隣には女性が座りました。

無言を貫くこと10秒。

「初めてですか。」

隣に座った彼女から沈黙を破ってくれました。
聞けば彼女は今年鹿児島から引っ越して来たそうで、
準1級までは鹿児島で二次試験を受けてきたそうです。
鹿児島だと受験者も少なく、
準1級でも5人しか2次面接の受験者がいなかったのだとか。
そのため今回初めて1級の2次試験に臨み、
受験者数の多さにまず驚いたと話していました。

私は2級も準1級も受けたことがなく、
英検というものが今回初めての受験なのでそうした事情は興味深かったです。

さらに彼女は妊娠7ヶ月でした。
今回不合格だと次の試験は出産予定日に当たるため、
できれば今回の1回目で決めたい様子でした。

これから1級の2次面接試験が始まる試験会場の静かな廊下で、
私の彼女の話し声がこだましました。互いに声は抑えていたのですが、
それでも廊下の静けさは私たちの声を少し目立たせた感じでした。

「すみません、もう一度こちらに来て頂けますか。」

先ほど隣の彼女を連れてきた監督者でした。
見ると4人の受験生が監督者の後ろに並んでいました。

「すみません、面接場所はここではありませんでした。正しい場所にご案内します。」

どうやら監督者が彼女たちを誤って誘導してしまったようです。

「それじゃあ。。。」

私に会釈する妊婦さん。

お互いがんばりましょう。そう声をかけて私は彼女に別れを告げ、
また静かな廊下でぼんやり前を見つめていました。

廊下を挟んだ向かい側の面接室前に座った男性は、
目をつぶって顔を上に向けて、ふぅーっと深呼吸しながら緊張を抑え込んでいる様子。

うんうん。そうだよね。みんな緊張しているんだよね。

と思いながら、私自身はもう緊張していないことに自分で気づきました。
さっきの妊婦さんと話をしている間に、私は完全にリラックスしてしまったのでした。

受験者へのアドバイス・その2
面接会場に来たら、もう英語を勉強するのはやめましょう。
リラックスするのが何よりの面接対策です。

「1番の方、どうぞお入りください。」

面接室から男性が私に声をかけました。
いよいよ私の英検1級二次試験が始まった瞬間でした。

英検1級の二次試験の流れはこんな感じ↓です。

入室後、着席。

面接官との自由会話

トピックカードをめくって1分間の間にトピック選択&スピーチ構成

選択したトピックに基づき2分間以内のスピーチ

スピーチに対して面接官との質疑応答

以上が二次試験の流れです。さあ面接に出陣だっ。

面接室に入って一礼。頭を下げるのは日本流なのですが、
ここはあくまで日本ですから日本流の挨拶を行いました。

日本人の女性面接官と外国人の女性面接官、
そしてタイムキーパーの日本人男性が座っていました。

「(どうぞ、席にお座りください。)」

この時に、この外国人の女性面接官がアメリカ人であることが発音からわかりました。

らっきぃー。

アメリカ人で良かったです。イギリス英語だったらどうしようかと思っていました。
幸いにもアメリカ英語。しかも女性。こりゃ幸先良いぞ。

席に着くと、机の上に大き目のオレンジのカードが置いてあることに気づきました。
伏せてありますが、このカードが5つの選択トピックが書かれたカードです。
想像していたよりも大きいカードでした。

「(貴方の名前は?)」

私が自分の名前を告げると、
2人の面接官はそれぞれ同じように自分の名前を言いました。
ここで私は再度、かなりリラックスしました。
なぜならアメリカ人女性面接官の話し方が、
ものすごーくゆっくり且つものすごーくクリアな英語を意識していたからです。
まるで英会話初級クラスの先生のような感じです。
そんなゆっくり&はっきり話さなくても。。。と思うくらいでした。
なーんだ。こんなんでいいんだ♪
私がものすごーくリラックスできた瞬間でした。

「(最近、どうですか)」

おっと。いきなり近況を聞いてきたぞ。

(とても元気に過ごしています。
特に私には4歳の子供がおりますので、子供と遊ぶのが何よりの楽しみです。)

すると食いついてきた面接官。

「(まぁ。4歳の子供がいるの?その子は今日何時に起きたの?)」

(子供は朝4時に起きました。)

2人の面接官は「Oh,no!」という表情。

(子供に4時に起こされましたので、それからテレビを観させられました。
 アニメ、アニメ、アニメ。。。でした。)

「(え?その時間はニュースはやっていないの?日曜日だからかしら?」

そこで隣の日本人面接官が私より先に
「(子供だから)」とアメリカ人面接官に突っ込みました。
私もすかさず

(子供は世の中で何が起きているかなんて興味がないですからね。)

と付け足しました。
私と面接官2人は笑いあって何か言葉を発しあいましたが、
互いの声がかぶって何が何だかわからない状態でした。

「(そうね。さてここではアニメではなく
  ニュースのような世界が話題となるからね。)」

アメリカ人面接官の言葉に日本人面接官が噴き出しました。
私は笑っては失礼だと思い、ニコッ くらいに留めました。

「(貴方の目の前にカードがあります。そこにトピックが5つ書かれています。
そのうちの1つを選んで2分間のスピーチをしてもらいます。用意はいいですか。)」

(はい。)

「(じゃあカードをめくってください。)」

私は目の前に伏せてあったオレンジの大きなカードをめくりました。
それと同時に、タイムキーパーさんが押したストップウォッチの音が鳴りました。

さてと。語れそうなトピックはあるかな。あるといいな。

実は私は『死刑制度廃止の是非』という問題にとても興味があり、
これについては自分で文章にまでまとめていました。
何の根拠かわかりませんが、
このトピックが二次試験には出るのではないかと確信していました。

トピックカードをめくって3秒。

。。。。ない。。。。。

ないっ。ないっ。ないっ

私が唯一語れるお題目がないっっっ。

私が唯一用意していた死刑制度の是非についてのスピーチは、
この時点で私だけの宝物となってしまいました。
悔しいので別の『飼い主の長めのつぶやき』に書いていこうと思います。

というか、なんで死刑制度廃止の是非だけしか考えていなかったのか、
自分のバカさ加減に気づいたのが本番の二次試験会場の正に面接時間内だった
というのもマヌケな話です。いや、私らしいと言えばそれまでなのですが。

えっと。

ようやくそこで冷静になり、英検1級2次試験の難しさを知ることになった。。。
なーんてかっこよくまとめたいところですが、なんせ「私」ですから(^^;)。
実際の私は

『死刑制度廃止の是非』がないなぁ。どないしょ。
じゃあ仕方ないからスピーチできそうな別のトピックを探そう♪

と、「♪」が着くくらい冷静でした。
というか、『私は大丈夫。私はできる』という、
持ち前の根拠のない自信が私の中でむくむくと芽生えていたのです。
根拠がないだけに誰にも崩せない♪

『今の日本では警察は役割を果たせているか』(確かこんなトピックだったような。。。)

お。5つのトピックの中で一番英文の長さが短いトピックに目が行きました。
これは語れるのではないか。

しかし私は警察には疎いです。警察通の受験生がいたら、
「この資格もらった!」と思ったことでしょう。
残念ながら私はそこまで警察の話題に精通していません。
話しやすそうなトピックですが、
いざスピーチ内容を考えると論点をまとめることができません。

このトピックはダメだ。

警察ネタを諦めて、他の4つのトピック全てに目を通します。

受験者へのアドバイス・その3
一見馴染みやすいトピックがあっても、
それについて自分の立場を支える根拠を2点以上挙げられないなら
そのトピックは捨てましょう。スピーチも勿論ですが、
その後に続くスピーチ内容に関する面接官との質疑応答に対処できなくなります。

『日本は国内問題よりも対外(海外)問題を重視すべきか否か』

だったかな?よく覚えていませんが、そんな感じのトピックに目が行きました。
よし、これだ。
この時点で20秒は過ぎていたでしょう。
残り40秒でトピックについての論旨をまとめます。

まずは私の立場をはっきりさせます。

『日本は海外ではなく日本国内の問題に目を向けるべきだ』

という立場で、そう考える理由を2点。

それに対する、のちの面接官からのツッコミを想像。。。
したかったのですが既に40秒が経過してタイムアップ。

「(トピックの選択はできましたか。)」

(はい。『日本は国内問題よりも対外(海外)問題を重視すべきか否か』
 を選びました。)

「(では始めてください。)」

実際の面接から日にちが経っているので、
あの時あの場所でいったい私が何を話したのか記憶が定かではないのですが。。。
何となく記憶を辿って書いて参ります。

----- スピーチ内容 ----------------------------------
私は日本は対外問題よりも国内問題に注視すべきだと考えます。
それには2つ理由があります。
あ、その前にですね、私がそう思う理由としては、対外問題を対処するには、
まず国内問題を解決して強くならなる必要があると思うからです。

では私がそう思う2つの理由を申し上げます。
まず国内問題としては、日本は今や経済が衰退しています。
そして次に理由なき事件、理由なく人を殺害するような事件が横行しており
社会が混乱しています。
これらを解決しないと、対外問題を解決しうる力を持てないと思うのです。
------------------------------------------------------

2分もあるのに、こんだけしか話していなかった。。。(^^;)

こうして書いてみると、いかに私のスピーチ能力が低いかを自覚します。
今考えると他にも色々話せることはあったのですが、
突発的にトピックを与えられてそれについて語るという能力が私には不十分でした。

2分のストップウォッチを押していたタイムキーパーも、
『まだ2分経ってないよ』と面接官に目配せしていました。

しまった。2分という時間の間隔をもっと体に染みこませておくべきだった。

受験者へのアドバイス・その4
2分間という時間を体に叩き込みましょう。

2分に到底満たない私のスピーチでしたが、面接官がタイムキーパーと
「まぁいいわ」的な会話を目でやり取りしているのが見えました。

さあ次は私のスピーチへの質疑応答です。

日本人面接官が口を開きました。

「(経済の衰退と言いましたが、改善するにはどうすれば良いと思いますか。)」

(雇用を充実させることです。定年退職制度を廃止し、
 若い雇用を増やして高齢労働者から知識とノウハウを
 伝授してもらうことで会社全体の利益を上げます。
 そうすることで若い世代の給与も増え、納める年金や社会保険料も多くなり、
 最終的に日本の税収入や保険料収入が上がります。)

おいこら私っっっ。
と、私は思いながら話していました。
何で『定年退職制度の廃止』を提議しているのよ、私。

私は定年退職制度に賛成の立場です。
それなのに話の流れで私の舌はべろべろと滑りまくり、
思ってもいない(というかむしろ逆の)意見を言ってしまったのです。

アメリカ人面接官が眉間にシワを寄せて聞いてきました。

「(ごめんなさいね、定年・・・なにかしら?なんの制度?)」

私の発音が悪く、聞き取ってもらえませんでした(恥)
しかし日本人面接官には聞き取れたようです。万歳、ジャパニーズイングリッシュ!

(『定年退職制度』です。)

はっきりと言い直しました。
ようやく聞き取れたアメリカ人面接官は「Oh, OK.」と納得。
しかし次に彼女はこう聞いてきたのです。

「(定年退職制度を廃止するのよね?
 それなのにどうやって若い世代の雇用を促進できるのかしら?
 退職者がいなければ新規雇用者も生まれないと思いますけど。)」

ごもっともです。。。だよねぇ。。。うん。そう思う。
だってそれ、そのまんま私の定年退職制度賛成の根拠だもの。

さて私の前に立ちはだかった壁。
自分の本来の考えを自分で根拠を以って否定することにより
自分の即興スピーチを支持しなくてはいけない状況に陥ったのです。

(高齢者の雇用はフルタイムでなくてもいいと思います。
 9時から6時という働き方ではなく、もっと短い時間でも良いのです。
 高齢労働者の持つ知識と経験なくして若い世代は育ちません。)

受験生へのアドバイス・5
論旨がぶれないように、どんなことがあっても自分の立場を貫きましょう。

また日本人面接官が質問を始めました。

「(日本は対外的にどのようなことができると思いますか。)」

私がスピーチのなかで挙げた『理由なく事件をおこす人が増えた』件には
全く触れてくれない面接官。経済云々よりもこっちの話の方がずっと語れるのに。。。
とは言っても質問を選んだり拒否することはできません。
面接官の質問に答えなくちゃ。

(日本よりも遅れている国、
 例えばアフリカの国々に日本ができることがあると思います。
 近年は中国がアフリカに手助けをしていますが、
 その助け方は中国側の利益を重視したものに見えます。
 日本は利益を追い求めることはせず、純粋な気持ち・・・
 気持ちというのは変ですが・・・現地の人を助けるという目的で
 動いてもらいたいです。食糧支援や飲料水の提供・・・)

ここでアラームが鳴り、
タイムキーパーの人が面接官に目配せしたため私は答えるのを途中で止めました。

「(さあ、面接は以上ですよ。4歳のお子さんのところに帰っても大丈夫ですよ。)」

アメリカ人面接官の言葉にホツと緊張の糸がほどけた私は、

(もう布団に戻ってもいいかな。)

ここでハッとしました。いいかな、なんて失礼だわ。

(いいですか。)

そう言い直したのですが、2人の面接官は最初の私の言葉に大笑いの最中で、
丁寧語などあまり気にしていなかったのがわかりました。

ありがとうございました、と声をかけて面接室を出る時、
私はちらりと振り向いて面接官を見ました。
すると2人の面接官が互いに目を合わせてうなずいているのが見えました。
この瞬間、私は合格を確信しました。

私は決して流暢に話をしていたわけではありません。
文法に気を付けて話をしていたわけでもありません。
気が付けば手振り身振りをしながら、常に面接官2名の目をみながら、
笑顔を交えながら話していました。聞いてもらいたい、
私の意見を2人に知ってもらいたい。
そういう気持ちが話をしている間にどんどん溢れました。

私のスピーチ内容は決して立派なものではなく、むしろ稚拙だったと思います。
しかし私が二次試験に合格できたのは、
突発的に英語を話さなければならない状況下で堂々と楽しく
自分の意見を言い抜いたからだと思います。

受験生へのアドバイス・6
話す途中で不安になっちゃダメ。聞いて聞いて!の姿勢が大事です。

以上が私の英検1級合格記でございます。

(2016年11月16日)