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フェネックは、オスメスを一緒に生活させれば自然に繁殖に至るわけではありません。
どの動物にも言えることですが
ペアにすればフツーに妊娠するフェネックもいれば
そうでないフェネックもいます。

繁殖に成功するかどうか、これといったコツは私にはわかりません。
ストレスを与えず、砂漠に似た環境を提供すれば交尾に至るのかと言えば
そうではないのは我が家で実証済みです。
フェネックベビー成長記録

【ストレス】

何せ私はフェネックキツネと一緒に出かけるのが好きなので、
オスもメスも春と秋は2週間に1度のペースで外に連れ出されます。
連れ出された先で他人に体をベタベタ触られて
ストレスマックスなキツネたちですが
それでも交尾に至っているというこは、
ある意味我が家のフェネックたちはストレスに慣れていると言えるでしょう。

ストレスを与えることの善し悪しは別として、
ストレスをなるべく与えなければ交尾に至るフェネックもいれば
我が家のように春と秋のストレスに耐えつつ交尾するフェネックもいます。
【砂漠環境】

我が家は砂漠の環境を再現して育てているわけではありません。
温湿度は人間が「フツー」と思える環境と同じですので
本来彼らが生活している砂漠の環境とは明らかに異なります。
それでも繁殖したということは、
温湿度を特別に砂漠環境に整える必要もないのでは、と
素人ながらに考えています。

常に人が見てやること
一緒に遊んで人なれさせること

日々の生活で人間との信頼関係を築いていくことが
繁殖につながるのではないかな、と
今回初めてフェネックが妊娠して思いました。
フェネックベビー成長記録
フェネックの赤ちゃんは想像していた通り、かわいかったです♪
フェネックの発情期
わかりやすく写真でご紹介します。
フェネックのメスの発情期の状態比較
普通のメスフェネック
発情しているメスフェネック
オスのフェネックの発情期の状態比較
普通のオスフェネック
発情しているオスフェネック
フェネックの交尾
フェネックは犬と同じで、オスのペニスがメスに挿入されるとロックされます。
いわゆる交尾結合が見られます。
最初にオスがメスに乗っかる際は同じ方向を向いていますが、
ロック後はこうして互いに別々の方向を向くことになります。

フェネックの赤ちゃんはたまらなく可愛いです♪


【2016年5月6日、以下追記】

フェネックはオスとメスを一緒にすれば必ず交尾に至るわけではなさそうです。
では交尾する条件とは何なのか。逆に、どんな条件下だと交尾をしないのか。

フェネックの繁殖考察を続けています。

自分で(勝手に)仮説を立ててそれを立証しようと毎年チャレンジしていますが、やはり元は野生動物のフェネックキツネ。一筋縄ではいきません。

仮説:環境をごっそり変えることで発情がおきる
検証:2度の引っ越し
結論:2012年ではナイルとトトメスのペアで仮説の通りだったが、2016年のてまり&緑カップルには当てはまらなかった可能性が半々。ただ環境の変化と発情は関係していると結論付けたい。

2012年3月にナイルとトトメスはそれまで暮らしていた家から別の家に飼い主(私)と共に引っ越しました。その1か月後に2匹は交尾し、初めての妊娠・出産となりました。
2012年から2014年までの3年間は同じ部屋で毎年交尾をしてくれました。
2014年12月末にまた引っ越しをした後も2015年、2016年と新居で交尾が行われました。

2016年に、てまりが初めての発情から交尾に至りました。
環境が大きく変わった前年に発情してくれれば仮説が結論にダイレクトに結びついたのですが。
ただし。
前年の春に突然ナイルとてまりの仲が急激に悪くなりました。2014年の年末に引っ越した時には、新居で同じ時間にみんなで仲良くケージから出て遊ぶことができていたのですが、2015年の春になって突然ナイルとてまりが「耳を掻っ切る」「肉球を噛みちぎる」くらいの血みどろの戦いを始めるようになってしまい、以来この2匹は同じ時間にケージから出して遊ばせることができなくなりました。

もしかしたら2015年の春に、てまりが発情したのかも知れません。それを嗅ぎ取ったナイルが、同じメス、さらには群れの女ボスとしてのプライドで敵対心を抱いて仲が悪くなったのかも知れないのです。

てまりは特別になついているフェネックで、私は毎日てまりのお腹をナデナデしていました。2016年に初めててまりの発情に気づいたのも、いつもの日課でお腹を出して転がるてまりを撫でていた時に、膣がふっくらしていることに目がいったためです。前年の2015年にてまりが発情していたとして、それに私が気づかないわけがありません。しかも春は繁殖の季節。期待を込めてメス達の膣を確認するのが日課の1つに加わるシーズンです。てまりの大事なところもいつも以上に気を付けて見ていたはずです。

上述の「結論」で仮説が当てはまらなかった可能性が半々と書いたのはこのためです。

仮説:発情には日光が必要である。
検証:2度の引っ越し
結論:日光と発情に特別な関係は見られなかった。

ナイルとトトメスの最初の部屋は直射日光が当たりませんでした。
最初の引っ越し先はサンルームで、冬でも日がよく当たりました。そしてこの部屋に引越してほどなくして最初の発情&交尾がありました。
この時点では、フェネックの繁殖には日の光が必要なのではないかと考えられました。
しかし2度目の引っ越し先は日の光が当たるのはごく限られた時間で、冬場はゼロ、夏場は2時間。このような環境下でもナイル&トトメス夫婦は無事に交尾してくれました。

さらにてまり&緑も、彼らにとっての最初の家はサンルームで2度目の家が日の光の少ない部屋。それでも初めての交尾は日光のよく当たったサンルームではなく、日があまり当たらない新居で行われました。

以上の検証により、直射日光と発情には特別な関係はないと結論づけました。


仮説:メスとオスの発情にはその時期に違いがある。
検証:全員の発情の様子を観察する。
結果:発情時期に違いはない。メスの発情に誘発されてオスが発情する。

ナイル&トトメス、てまり&緑の2ペア共に、メスの方が先に発情し、その後にオスが発情している。
さらなる裏付けとして、パピルス&ラムセスのカップルにおいては、パピルスが全く発情しないにも関わらずナイルの発情につられてラムセスが発情していた。


仮説:発情しないフェネックが存在する。
検証:まだ交尾に至ったことがないメスを観察する。
結論:発情しないメスフェネックは存在する。メスには必ず発情期が訪れる。(2016年5月16日訂正)

(2016年5月16日追記)
我が家にはメスが3匹います。それぞれの発情開始年齢は異なるものの、3匹全てが発情しました。
ナイル:2歳になる年の春(1歳10か月で発情)
てまり:3歳になる年の春(2歳11か月で発情)
パピルス:4歳になる年の春(ほぼ4歳ちょうどで発情)

発情年齢に差がありますが、それ以前に発情していたものの飼い主の私が気づかなかった可能性もあるかも知れませんが、それは限りなく少ないと考えています。
メスが発情していた場合、その相手となるオスが一緒に発情するはずで、上述の月齢以前にそれぞれの相棒のオスには発情が見られなかったためです。

本日、今まで発情が見られなかった4歳のパピルスに発情を確認したため訂正して追記しました。

(以下は2016年5月6日に書いたもの)
パピルスは4歳ですがまだ一度も発情していません。
メスの発情につられてオスが発情することを考えると、もしパピルスが発情した際にはオス達が放っておかないはずですがそんな様子が見られたことはありません。また、同じメスとしてパピルスが発情した際にはナイルの様子に変化があるはずですが、それもまだ見られません。


仮説:群れのなかで発情するのは1匹のメスだけである。
検証:1ペアを別の場所に移動して群れを壊してみる。
結論:群れの中でも2匹以上のメスが発情して交尾に至る。

フェネックもハダカデバネズミほどの真社会性はなくとも何かしら1匹のメスが群れを仕切るようなことがあるのではないか、と考えたことでこの仮説を立てました。

2016年の3月の最終週の週末に、パピルスとラムセスを別の家に動かしました。そこは1度目の引っ越し先のサンルームです。
1年半まえまでずっと暮らしていた場所であるにも関わらず、パピルスは全く落ち着かない様子でした。その後1か月ほどその部屋に2匹を入れていましたが、ラムセスは普通なのにパピルスだけがビクビクしていました。
結局、このペアは発情に至りませんでした。 元の家に2匹を戻して1か月半後にパピルスは発情しました。(2016年5月16日訂正)

いっぽう、ナイルよりも早くてまりに初めての発情がありました。2度目の引っ越し先で1匹でケージの中で暮らしていたてまりに、です。

その後1週間違いでナイルも無事に交尾を済ませました。

仮説:ペアは常に一緒のケージに入れていないと交尾しない。
検証:発情したてまりのケージに緑を放り込む。
結論:メスの発情を確認したら、それまで別々のケージだったオスを同じケージに入れることで交尾に至る。

てまりは緑が嫌いです。
発情した時に思い切って緑をてまりのケージの中に放り込みました。てまりは緑に威嚇し、「来ないでよっ」「なんで入ってくるのよっ」「あたしの部屋よっ」と大騒ぎ。
緑はビクビク。
てまりが緑に甘噛みし続け、そのたびに緑は狭いケージの中で必死にてまりの牙をかわしている状態でした。
夜中に本気の喧嘩になると怖いのと、夜中の2匹の喧嘩の声がやかましいので夜は元通り別々のケージに2匹を分けて、昼間だけ同じケージの中で過ごさせました。しかし何となく勘が働いたというか、何となく夜中も2匹を同じケージに入れてみようかなと思ったところ、翌日にてまりを確認すると交尾した後が見られました。

幼いころから同じケージで飼育しなくても、そして仲が決して良くないペアでも、いったんメスが発情すればオスは決める時は決めるようです。

(以下、2016年5月16日に記載)

仮説:フェネックのペアは決まっている。
検証:3ペアの様子を観察する。
結論:フェネックのペアは、それぞれ相手を決めて交尾する。

メスの発情に誘われてオスが発情しています。自分の相手以外のメスが発情すると確かにそれにつられて他のペアのオスも発情しますが、だからと言って自分の相手以外のメスに交尾を迫りまくるかというとそうではありません。

オスは「俺の女」と言わんばかりに、自分の相手を決めてその相手だけに本気で乗っかります。

ナイルとトトメス:トトメスはナイルにだけ乗っかります。ナイルはトトメス以外のオスは受け付けません。

てまりと緑:緑の早業で、飼い主の私が実際の交尾の現場を確認できませんでした。このペアに関しては検証できず。

パピルスとラムセス:ラムセスだけがパピルスを追いかけまわして乗っかりまくります。他のオスはパピルスが発情していても乗ろうとはしません。ただ、つられて発情した緑がやたらとマーキング行為をするようになりました。


仮説:発情や交尾時に独特の声を出す。
検証:発情しているペアの様子を観察する。
結論:普段には聞かれない独特な声を出す。

寂しい時にフェネックが出す声があります。トゥルルルルという電話の着信音のような声。ホロロロロロとも表現できる声色です。
我が家では発情期から出産にかけての時期にはこの声がオスからもメスからも聞こえます。

さらにオスがメスに乗っかるときに出す声があります。これはオスがメスに乗っかる時にしか聞こえません。クルクルクルクル、という声。オスが出す声です。

発情期以外にもオスがメスに乗っかることがありますが、これはあくまで優劣をはっきりさせるための行為で逆にメスがオスに乗っかることもあります。「俺(私)はあなたより立場が上ですよ」と相手に示したい時にこのような行為をします。しかしこの時は特に声は出しません。発情時にオスがメスに乗っかる時のみ、クルクルクルと聞こえます。


【以下、2016年5月25日に追記】

フェネックの繁殖考察、次は交尾の考察です。

フェネックが妊娠するためには交尾が必要(そりゃ当然)
この実際の交尾に至るまでのオスのメスへの乗り方に3段階あることがわかりました。

第1段階:チョイノリ(メスの発情開始から4日~7日)
メスの背中を手でちょんちょんしてメスの機嫌を伺いつつ乗っかります。
この時点ではメスが発情しているものの、まだ受け入れ段階ではないためオスが乗ると怒ります。
メスが怒るとオスは乗るのを止めます。
何度も何度もオスはメスを追いかけては乗っかり、怒られては降りる、を繰り返します。怒られてもめげません。すぐに降りてまた追いかけて乗っかります。そんな短時間でメスの気は変わらないよ、とオスに突っ込みたくなるくらいオスは何度もメスに交尾を求めては断られます。
一昔前のイエスノー枕状態。メスはNO、オスは常にYES,YES、YES!!!

第2段階:マジノリ(1~2日間)
この段階になると、オスが乗るとメスは自分のシッポを横によけてオスを受け入れやすくします。チョイノリ段階のメスはシッポで自分の膣にふたをしてオスの受け入れを拒否します。(わかりやすい。)
マジノリ段階ではオスのメス滞在時間(?)が長くなります。メスの体を両手で捕まえて腰を必死に振ります。
もちろん何度も何度も。
この時点ではまた連結はしません。

第3段階:イレノリ(マジノリからイレノリに変わったら数時間で結合します)
さあ交尾までの最後の段階です。
メスはもうオスが乗っても全く抵抗せず、体を前方へ倒してシッポを横にずらし、オスに全面協力します。

オスがメスに乗っかるという姿はマジノリと変わりませんが、高さが変わります。
このイレノリ段階になると、オスはメスのお尻の上に自らの体を載せようという状態になります。例えば跳び箱を飛び越えようとするような姿、自分よりやや高めの台の上に乗っかろうとする姿、肩車をしてもらうときに肩に乗るような姿です。

オスの片足がふらふらと上がります。メスのお尻の上に乗ろうとするので足が浮くのです。

ふとオスの動きが止まります。オスがまるで二本足で立っているような感じに見えます。手はもちろんメスのお尻(背中)の上に載せているのですが、何となく足で立っているように見えるのです。
そしてオスがゆっくりと地面に手を降ろして体の向きを変えると2匹が連結してた状態になっているのです。フェネックキツネの交尾成功です。

 

 




 

☆おしまい☆

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